アフターコロナ時代の中国富裕層ビジネスのインサイト【行楽現場 レポートNo.2】
2022.06.30
2022年6月に中国のプチ富裕層・訪日リピーター6名にオンラインインタビューを実施しました。
新型コロナウイルスの影響により日中間の人の往来がストップし2年以上が経過しました。その間、中国での訪日旅行や日本食・日本文化に対する興味・関心は、衰えるどころか益々高まっていると感じます。日本では外国人観光客の受け入れが再開され、中国でも約2ヶ月に及んだ上海のロックダウン(都市封鎖)が解除されるなど、インバウンド業界を取り巻く環境が今まさに大きく動き出そうとしているこの局面で、中国の富裕層事情を熟知する行楽ならではのインサイト、そしてビジネスストラテジーのヒントになる有益な中国マーケティング最新情報を緊急レポートします。(行楽現場 レポートNo.1 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000010.000058429.html )
【緊急企画:中国プチ富裕層・訪日リピーターのオンラインインタビュー
〜アフターコロナに訪日中国観光客が求めるニーズとインサイト(上海ロックダウン後の最新意識調査)】
<プチ富裕層へのインタビュー>
行楽では日本に行けない中でもリアルな日本の情報を知りたい・体験したいというニーズに応え、2021年4月、日本のグルメ・ライフスタイルをテーマにしたブランド『JG(Japanese Gourmet)食酒研究社』を立ち上げ、新しいコミュニティマーケティングを開始しました。具体的には“WeChat公式アカウント×ミニプログラム×視頻号”に基づく会員コミュニティで、2022年6月現在会員数約52,000人、KOC(Key Opinion Consumer)約500人の規模となっています。(JG最近の取り組み紹介動画 https://youtu.be/L29sjsPYwWM)
JG・KOCの主なメンバーは、メディア・金融・不動産・アートなどの各業界で活躍し、保有資産は約2億円以上、9割以上は訪日経験があり、滞在期間中の消費金額(航空券・宿泊費除く)の平均は43万円で、日本を身近に感じている中国人プチ富裕層です。
今回、この中から下記の6名にオンラインインタビューを行いました。
参加者(順不同):
史さん(女性) 保険会社幹部 30代前半 訪日回数:10回以上 2人家族
Chrisさん(女性) 投資会社幹部 30代後半 訪日回数:15回以上 3人家族
Juliaさん(女性) 飲食グループオーナー 40代前半 訪日回数:20回以上 4人家族
陳さん(男性) 金融系メディア経営 40代前半 訪日回数:20回以上 3人家族
Jimmyさん(男性)日系金融会社幹部 40代後半 訪日回数:100回以上 4人家族
Fayさん(男性) 酒類取扱会社役員 30代前半 訪日回数:50回以上 3人家族
進行: 行楽代表 袁静、 行楽上海 マネージャー 汪暁陽
Theme1:訪日旅行について
『アフターコロナに行きたい海外旅行は日本が断トツNo.1』
史さん
・会社の営業インセンティブ旅行の目的地として、バリ島、タイ、日本の3カ所で8000人の社員投票を行ったところ、圧倒的に日本に行きたい人が多かったのですが、帰国後の14日間の隔離措置が続いているので、最終的に国内旅行に変更になりとても残念でした。
Juliaさん
・今すぐにでも日本に行きたいですが、明確な目的地があるかと言われれば、実はありません。日本の魅力は海でも畑でも都会でも京都の街並みでも、どこに行っても情緒的で美しい風景を見ることができることです。言い換えれば、行き先はどこでも良くて、日本の空気感が好きです。
・数名で旅行する場合、それぞれ旅行に行く目的や、旅行中のニーズが異なっていても、日本なら大体全員の要望を満たすことができると思います。
Jimmyさん
・日本の旅行で求めたいものは、欧米のような壮大な自然景色より、日本特有の文化的な雰囲気だと思います。商売っ気が強すぎないところが、中国の観光地との大きな違いだと思います。例えば京都の百年以上続く豆腐屋、染物屋といった老舗は一見の価値があると思います。
・日本の温泉のトップ10に全てに行ったことがあります。私が感じたのは、日本語がわからなくても楽しく旅行することができるということです。むしろ日本語が分からない方が、日本の“おもてなし”が体感できると思ったほどです。日本のホテルスタッフや、運転手さんはとても親切で心の温かみを感じることができ、日本の地方温泉旅館にも少なくとも英語の地図は用意されています。
Chrisさん
・コロナ前からずっと日本に行きたいという意欲は変わっていませんが、長い間海外に行けず、特に上海のロックダウンもあって、その反動で行きたいという気持ちが強くなりました。
・日本に行く際、最初は都会のほうが多かったが、徐々にディープな体験を好むようになりました。最近は観光客が少ないニッチなところに行って、隠れ家的な場所を探したり、比較的ゆっくりとした旅を楽しんだりしています。
・最後の日本旅行は2019年の青森と和歌山。この思い出を振り返ることがこの2年間で最大の楽しみです。
・日本のコロナ事情については、情報が透明で全く心配していません。
・中国国内の状況(特に帰国後の隔離)が緩和されれば、すぐに日本に行きたい。
Theme2:日本食と日本のお酒について
『行けないからこそ“日本の雰囲気を味わう”』
Juliaさん
・コロナ禍が始まってから日本に行けないため、中国国内の日本料理店が大繁盛しています。私は日本式の焼肉屋と焼鳥屋を経営していますが、お客様は料理そのものだけでなく、日本の雰囲気、日本で体験した楽しさを求めているのではないかと思います。
・最近は特に焼鳥屋が人気です。焼鳥は種類が豊富で満足感を得やすいのと、日本らしい雰囲気があり、日本酒を軽く飲んでリラックスすると、まるで日本にいるような気分になります。
・上海は東京に似てきて、若者は特に仕事が終わったらすぐに家に帰るのではなく、焼鳥屋や居酒屋で一杯飲みたいという人が増えています。
Fayさん
・ここ数年ほどで、日本酒が知られるようになってきたが、多くの人は有名な獺祭や十四代以外はあまり知らないと思う。
・日本酒はニッチなブランドが多く、酒造それぞれに歴史があります。地酒は生産量が少なく現地限定のものも多く、中国市場に進出していない銘柄も多いです。
・輸入制限がある地域もあり、日本に行かないと飲めないお酒がたくさんあります。ニッチだが実は美味しい酒造を探して、特色のある日本酒とその土地の美食を味わう旅がしたい。
Jimmyさん
・中国にも日本料理店が増えているので、日本に行ったら、なかなか予約の取れない店に行くなど、中国では味わえない体験を追求したい。
・日本酒や焼酎以外で、日本のウイスキーにも興味がある。有名ウイスキーの工場見学や他のニッチなウイスキー酒造を巡る旅行をしてみたいです。
Theme3:アウトドア・自然体験
『コロナで注目のアウトドア・自然体験は“スキー”に期待』
陳さん
・日本の自然風景そのものは、欧米や中国ほど壮麗で多彩ではないかもしれないが、日本の行き届いた管理による自然環境の美しさは世界に誇れるものだと思います。
・自然の中に歴史や文化、ストーリーがあって単なる景色以上の奥深さを感じます。
・日本のスキー市場は成熟していて、初心者も上級者も老若男女が楽しめる環境が整っています。
Chrisさん
・以前に青森の奥入瀬に行ったが、景色がとても綺麗で、宿泊した星野リゾートもとても魅力的でした。
・欧米人の同僚が富士山に登ったことがあり、私も行ってみたいです。
・中国でもコロナの影響でアウトドアが人気。日本でもきっと満足できるコースがあると思う。日本でアウトドアを楽しむなら、さらに日本らしい温泉や宗教の探求も合わせて体験したい。ただし、中国国内の経験からアウトドアを楽しむには、良いキャンプリーダーや専門知識を持ったガイドが必要だと感じています。
・スキーは(北京オリンピックの影響もあり)中国も力を入れていて、富裕層を中心に人気が広がっていると思う。日本のスキー場は雪質が良く、以前会社の同僚と行った北海道のパウダースノーは素晴らしかった。交通が便利で、周辺施設も整っていて、食べ物も豊富なのでスキーをするなら日本に行きたいです。
Fayさん
・日本に行って一番体験したいのはスキーです。日本のスキー場周辺にはたくさんの温泉があってサービスもいいです。市街地からアクセスもよく、東京周辺には1時間程度で行けるスキー場も多くてよい。
Jimmyさん
・日本のスキー場はコスパが良い。中国東北のスキー場のハード面は良いですが、値段が高い。春節なら、吉林省の白頭山は一泊2万元(約4万円)ぐらいです。
Theme4:買い物について
『コロナ前には戻らない⁉︎大きく変化する買い物ニーズ』
Juliaさん
・以前は日用品や化粧品などのお土産でスーツケースがいっぱいになったが、今はそれらをECでも購入することができるので、わざわざ日本から運んでくる必要がなくなりました。
・自分は飲食店経営なので、特に美しい器など探すことが好きで、職人やデザイナーズグッズなどに興味あります。今度日本にいく時は、工芸品や芸術など本当に心を動かすものを買おうと思っています。
Chrisさん
・これまでとは違いECで日用品を買い、それ以外のものを現地に行って選び購入したいです。旅行を象徴するもの、旅先のシーンや心境が思い出されるもの買いたい。
Jimmyさん
・陶磁器を買いたいです。日本の陶磁器、特に佐賀県のものは中国のものに比べて繊細な印象です。漆器や銀器も日本でいいものを見つけることができますが、ここでは日本語のコミュニケーションが必要。宮内庁御用達の漆器なども、中国には愛好者がいて、中国国内でも販売されていますが、販売価格は日本の3〜4倍、場合によっては6~7倍もします。
・買い物のニーズが日用品から高級品、さらに芸術品・工芸品へシフトしてきていると思う。しかし、地方でその土地の工芸品を買う場合は、現地事情に精通している人に相談しないと購入が難しいと思います。
【最後に】
行楽では、ポストコロナ時代における「旅行の在り方」「訪日インバウンドの今後」を追究し、中国人の富裕層、プチ富裕層(富二代)などにマーケットを絞り、今後も事業展開に取り組んでまいります。
また現在、今回のインタビューとは別に、WeChatを使った【定量的マーケティング調査:アフターコロナにおける訪日中国人観光客の意識・旅行スタイルの変化/中国における日本商品・の日本食に対する関心度調査】を行っており、6月末には調査結果を配信する予定です。下記はその一部の速報値です。
コロナウイルス終息後、特に多くの地方エリアにとって直行便のある中華圏から富裕層をいかに呼び込むかは非常に重要なポイントです。10年以上にわたり“本物の日本”を中国富裕層に発信し続けてきた行楽は、このような時期だからこそ力を発揮し、相互交流・相互理解の架け橋になりたいと考えております。中国人富裕層、富二代の最新情報は、行楽にお問い合わせください。
PRTIMESでも配信されました。https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000022.000058429.html